生活習慣と”みみ” |
生活習慣病には、従来、成人病として扱われていた糖尿病、高血圧、脳卒中、がん、心臓病などがよく知られています。耳鼻咽喉科で扱う病気の中にも喫煙と関係が深いノドの癌(喉頭癌)などがありますが、その他にも生活習慣と関係が深い病気が数多くあります。
<難聴> 年を重ねるにつれ足腰が弱ってくるのと同じように聴力も高音域において徐々に弱ってきます。これを老人性難聴と言いますが、難聴の進行程度には個人差があります。遺伝的要素も無視できませんが、糖尿病や高血圧など循環や代謝を悪化させる生活習慣病の合併、喫煙習慣や過労・ストレスが重なってくるとその進行が早まることが知られています。また、大きな音で音楽を聴いたり、うるさいところで長時間過ごしているうちに4000Hz付近の高音域の難聴が進行することがあります。鉄工所・製材所などでの作業、パチンコ遊戯、車中やヘッドホーンを使用しての音楽鑑賞などでは耳を傷めていないか心配されます。 <耳鳴り> 大きな音を聞いた後、耳鳴りや耳がつまった感じなどが続きましたら聴覚神経が傷害されている可能性があります。神経は一旦傷害されると治りにくいものです。早めに耳鼻咽喉科専門医に相談してください。たとえ神経性難聴が治らなくとも耳鳴りを抑える治療は可能です。原因が何であってもあきらめることはありません。 <補聴器> 神経性難聴や耳鳴りがなかなか治らない場合、高音域の音を大きくするように調節した補聴器が役立ちます。補聴器が耳を傷つけないように正しく調節してあれば、聴覚を活用していくうちに難聴や耳鳴が改善することもあります。声を聴き取りにくいからといって人と話すのを避ける生活は人生の活力を低下させるだけではありません。耳、そして大脳の活力も弱めてしまいます。 <めまい> 耳や脳にある神経細胞は筋肉などと共に沢山のエネルギーを必要とします。そのため血液循環やエネルキー代謝が悪化すると途端に悪影響を受け、難聴や耳鳴りを起こさなくとも、フラフラやグルグルといっためまいが起きたり目の前が真っ暗になったりすることがあります。まえにも出ましたような糖尿病や高血圧のほか、起立性低血圧や貧血なども悪さをします。生活習慣病予防のポイントを抑え充実した暮らしを過ごしましょう。 |