Dr.トーク 「難聴」

MBCラジオ『ココが聞きたい! ドクタートーク』2009.2.7-2.28
第302回−第305回放送分 『難聴』 ゲスト:清田隆二
取材 ライター 小谷さらさ様
聞き手 二見いすず様

二見いすず: 2月に入りました。
来月3月3日は、「耳の日」ということで、今月のドクタートークは「耳」についてお送りしたいと思います。
鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターにお話をうかがいます。
清田さん、よろしくお願いいたします。

清田隆二Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今月のテーマは「耳」ということでお話を伺いたいのですが。

清田隆二Dr: はい。
今回は、耳の病気の中で、「難聴」について、お話したいと思います。

二見いすず: 難聴といいますと、やはり、音が聞こえにくい症状のことをいうのでしょうか。

清田隆二Dr: そうですね。
現実的には「聞こえに不自由を感じて、日常生活に支障が出る」、そのような時、難聴という症状を自覚します。

二見いすず: なるほど。

清田隆二Dr: 難聴には、大きく分けて、伝音性難聴と神経性難聴という、2つのものがあります。

二見いすず: そうですか。
では伝音性難聴とはどのようなものでしょうか。

清田隆二Dr: はい。
耳あかが邪魔をしたり、中耳炎などで、音の振動が伝わりにくくなっている状態のことを言います。

二見いすず: なるほど。
では、もうひとつの神経性難聴はいかがでしょうか。

清田隆二Dr: 神経性難聴は、中耳の奥にある内耳の障害や、脳神経の障害などによって、音が聞こえにくくなっている状態を言います。

二見いすず: よくわかりました。
では、難聴には、耳あかの詰まりや、鼓膜や中耳の障害、また、内耳から脳に至る神経の問題など、さまざまな原因が考えられるということですね。

清田隆二Dr: その通りです。

二見いすず: では、難聴には先天的なものと後天的なものがあるのでしょうか。

清田隆二Dr: はい。どちらもあります。
先天的なものについては、遺伝的なもののほか、生まれる前のお母さんのお腹の中にいるときの感染も原因となります。
また、後天的なものですと、病気や怪我、年齢的なもの、それから生活習慣が原因となることもあります。

二見いすず: えっ、生活習慣ですか。

清田隆二Dr: はい。
例えば、大きな音がする職場で仕事をされている方や、携帯、音楽プレーヤーで長時間、音を大きくして聴いている方、コンサートなどで大音量の音を聴いた方など、生活習慣的なことが原因で難聴になるケースも、少なくありません。

二見いすず: なるほど。
後天的な難聴は、病気や突発的な怪我などだけが原因ではなく、生活習慣が原因になることもあるということですね。

清田隆二Dr: そうです。
長時間にわたり、大きな音を聞き続けると、難聴になる可能性があることに注意していただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
耳のためにも、ぜひ生活習慣も見直していただきたいと思います。
難聴について、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターにお話を伺いました。
来週も引き続き、難聴についてお伺いします。
清田さん、ありがとうございました。

清田隆二Dr: ありがとうございました。


二見いすず: 今月のドクタートークは、3月3日の耳の日を前に、「難聴」についてお送りしております。
今週も鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターにお話をうかがいます。
清田さん、よろしくお願いいたします。

清田隆二Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、難聴について、音の振動がうまく伝わらない「伝音性難聴」と内耳などの障害が原因でおこる「神経性難聴」があるとお伺いしました。
また、原因も、病気や怪我、加齢などのほか、大きな音を聴き続けることが原因になる生活習慣的なものもあるということでしたね。

清田隆二Dr: はい。その通りです。

二見いすず: ところで、難聴の患者さんで、聞こえが悪くなっていることをご自分では気づいていらっしゃらない方もおいでですか。

清田隆二Dr: おいでです。
例えば、加齢に伴うような少しずつ進行する難聴では、周りが気づいていても、本人は自覚していない事も少なくありません。

二見いすず: 痛みもないし、徐々に進行するとなると、なかなか難しいですね。

清田隆二Dr: はい、そのとおりです。
その他、鉄砲を撃つ方や、剣道をおやりになる方では、知らず知らずのうちに衝撃が大きい左耳の聞こえが悪化していることがあります。

二見いすず: 例えば、どんなサインを感じたら、難聴かもしれない、と思ったらよろしいでしょうか。

清田隆二Dr: 聞こえがよくても、耳がつまった感じや耳鳴りがするとき、また、立ちくらみ程度のものでも、めまいを感じるときは要注意です。

二見いすず: なるほど。
耳の詰まった感じ、耳鳴り、めまいですね。

清田隆二Dr: はい。
このようなサインがあったら、お近くの専門機関で聴力検査をしてみてください。
隠された病気や異常を、早期に発見できることも少なくありません。
また、小さな子供さんに限らず、ご老人の方においても、「声を掛けて返事がない」、「聞き返す」、「テレビの音が大きい」、などのサインに、周りの方が気づいてあげることも大切だと思います。

二見いすず: 早期発見ができれば早めに治療できますね。
これは大事なことでしょうね。

清田隆二Dr: そうですね。
治りにくい神経性難聴の場合、特に大事です。
治療をしても、もしも難聴が残ってしまった場合、補聴器などを使って聞こえをカバーするという方法もあります。

二見いすず: なるほど。補聴器ですね。

清田隆二Dr: はい。
ひと昔前の補聴器に比べ、現在のものは大変進歩しています。

二見いすず: そうなんですか。

清田隆二Dr: そうなんです。
現在、デジタル補聴器といって、患者さんの様々な聴力に合わせて、高音だけを聞えやすくしたり、逆に低音だけを聞えやすくしたりするなど、オーダーメード感覚で聞こえをよくすることができるものが出ています。

二見いすず: すごいですね。
そんな補聴器があるのですか。
では、来週は、難聴の方の心強い味方である、最新の補聴器事情について、詳しくお伺いします。
お話は、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターでした。
貴重なお話をありがとうございました。

清田隆二Dr: ありがとうございました。


二見いすず: 今月のドクタートークのテーマは3月3日の耳の日にちなんで、難聴についてお届けしています。
お話は、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターです。
清田さん、よろしくお願いいたします。

清田隆二Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、難聴について、早めに気づいて治療することが大切であること、そして、治療の結果、もしも難聴が残ってしまった場合には、補聴器などでカバーする方法があるということをお話いただきました。
先週のお話ですと、補聴器の世界は、ずいぶん進歩しているそうですね。

清田隆二Dr: そうなんです。
難聴の患者さんには、聴覚が過敏であるため、過度に大きな音がうるさく感じる方や、音を大きくしても、言葉がはっきり聞き取れない方など、さまざまな方がおいでです。
最近のデジタル補聴器は、単純に音を大きくするのではなく、聴覚過敏がある音の領域だけを、小さい音は大きめに、大きな音は小さめに増幅してくれます。

二見いすず: それはすごいですね。

清田隆二Dr: 確かに。
また、周りがうるさいところで言葉が聞き取りにくい方のために、言葉以外の雑音を消してくれる補聴器もあるんですよ。

二見いすず: なるほど。
雑音を消して、会話などははっきり聞えるようにするんですね。
技術は進歩していますね。

清田隆二Dr: そうですね。
また、デザインも、目立ちにくいように工夫されたものがたくさん出てきています。

二見いすず: なるほど。いろいろあるのですね。驚きました。

清田隆二Dr: はい。
ただし、特殊な機能がついていれば、その分、シンプルな機能のものに比べれば価格が高くなる場合もありますから、ご自分の症状および、価格も考えながら、ご自分に合ったものを選ばれるといいと思います。

二見いすず: そうですね。
シンプルな機能でいいという方もおられるでしょうから、医療機関などでまずはご自分の聴力をきちんと調べて、その上で、治療をし、さらに、補聴器が必要な場合は、どんな補聴器が合っているかを専門医に聞き、ご自分にあったものを選んでいけばいいですね。

清田隆二Dr: その通りです。
鹿児島県下、大抵の耳鼻咽喉科で補聴器相談が可能です。
その専門医が信頼できる補聴器販売店を紹介するシステムが出来ています。

二見いすず: そうゆうことでしたら、安心して相談できますね。

清田隆二Dr: 難聴は、人によっていろいろなパターンがありますから、補聴器も最初からピッタリのものが見つかるとは限りません。
お店で購入される際も、まずは補聴器を貸し出してもらって、ご自分の症状および、生活環境に合うかどうかを確かめることをおすすめします。

二見いすず: そういう方法もあるのですね。
難聴は自覚症状がない場合も多いことを知り、医療機関で聴力をチェックすること。
そして、進歩した補聴器などの存在も知り、慎重に自分に合うかどうかを確かめながら、上手に活用していくことなどもポイントですね。

清田隆二Dr: その通りです。

二見いすず: よく分かりました。
お話は、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターでした。
貴重なお話をありがとうございました。

清田隆二Dr: ありがとうございました。


二見いすず: これまで3回に渡り、難聴について伺ってきました。
4回目の今日も、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターにお話をうかがいます。
清田さん、よろしくお願いいたします。

清田隆二Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週、最近の補聴器について、お話を伺い、難聴は早めに治療することが大切であると共に、もしも難聴が残ってしまっても、あきらめなくてもいいということがわかりました。

清田隆二Dr: そうなんです。
今や、音を大きくする補聴器に加え、音を電気の信号に変え、直接聞こえの神経に伝える補聴器、いわゆる人工内耳までできています。
いろいろな方法で聞こえを取り戻すことは可能です。
どうぞ、あきらめないでほしいと思います。

二見いすず: 本当にそうですね。

清田隆二Dr: 高齢の方などは、聞こえが悪くなってもあまり気にしないという方もいらっしゃいますが、難聴になると、コミュニケーションがとりづらくなり、人とのお付き合いが減ってしまうことも少なくありません。
会話がおっくうになって、人と疎遠になる前に、補聴器で難聴をカバーして、楽しいコミュニケーションを保っていただきたいと思います。

二見いすず: そうですね。
聞こえが悪くなると、お話するのが面倒になられるかもしれません。
ご高齢になられても、いろいろな方とコミュニケーションをとって、生き生きしていていただきたいものですね。

清田隆二Dr: そうですね。
また、難聴の患者さんの周囲にいるご家族や友人の方にも、難聴への理解を深めていただきたいと思います。

二見いすず: そうですね。
ゆっくり進行する難聴の場合、自覚症状があまりなく、むしろ、ご家族が「最近、聞こえが悪いなあ・・・」と、気づかれることも多いということでしたよね。

清田隆二Dr: はい。
ご家族を初めとする周囲の方が、難聴のサインに気づいてあげて、病院へ行くことを勧めていただくことも重要です。

二見いすず: そうですね。
他に周囲の人が、難聴をカバーするために知っておくべきことがありますか。

清田隆二Dr: 大切なことは、近くで向かいあって、ゆっくりと話すことです。
正面に向かい合うことで、口の動きや、身振り手振りを見ていただくことができます。
時には、言葉を言い換えてみることも役に立ちます。
既に補聴器を使っておいでの方においても同様です。
難聴気味であるにことに変わりはなく、過度の大声や、早口では、聞き取りが悪くなります。

二見いすず: なるほど。
難聴の方の立場に立って、どうやったらより伝わりやすいかということを考えてみるといいですね。

清田隆二Dr: そうですね。
難聴は、いろいろな原因があり、症状や聞こえのタイプもさまざまです。
まずは、検査をしっかりしていただき、難聴をできるだけ早期発見し早期治療することが大事です。
もしも、難聴が残った場合も、補聴器を上手に活用すれば、低下した聴力を一部補えるということを知っていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
また、周囲の人も難聴に気づいてあげること、また難聴の方の立場に立って考えることを心がけたいものですね。

清田隆二Dr: そうですね。

二見いすず: お話は、鹿児島県医師会の清田隆二(きよたりゅうじ)ドクターでした。
4回にわたり、貴重なお話をありがとうございました。

清田隆二Dr: ありがとうございました。